ジャパンブランドの未来を担う全ての人に開かれたプラットフォームとなることを目指す活動「JAPAN BRAND FESTIVAL」。年度や事業の縦割りと地域や分野の垣根を越え、情報やノウハウを共有し継承する画期的な仕組みとして、政府機関や自治体からも注目されています。その活動の一つである「JAPAN BRAND FESTIVAL – TALK SALOOOON」。2016年に2回開催し、2017年は今回が初の開催で3回目となる、トークと交流を軸にした未来志向のサロンです。
一つ目のトークセッションで登壇したのは株式会社 玉川堂 番頭であり、第5回「燕三条 工場の祭典」副実行委員長の山田 立 氏。新潟で二百年に渉り銅器づくりを営む玉川堂。その高い技術力に支えられた商品は世界各国での販売を実現しています。そして、現在のオープンファクトリーを中心とした地域活性化のパイオニアといえる企画「工場の祭典(こうばのさいてん)」。これら二つのキーマンである山田氏に、Local to Globalそして地域活性化のこれまでとこれからをお話いただきました。
「5年前に始めた工場の祭典、最初の年はおよそ1万人の来場であったが、昨年はおよそ3万5千人にまで増えた。こうした製造現場を見せるイベントは東京ならば隅田や大田区など全国に20ほどある。燕三条は地方のアートフェスのような感覚だろうか。4日の会期中滞在しても半分も見ることができないので、リピーターも増えている」
「燕三条は食に関する完成品を作っているので、見にくる人たちも感情移入しやすいのだろう。そして包丁から農耕具まで様々な製品があるので見飽きない。これは他の地域にはない特徴だろう」
「このイベントで直接の売上にはならない。だが、このイベントによって店頭で見て“高いね”と思って終わりでなくなる。背景、ものづくりの空気、熱、匂い、五感の体験をすること。皆、二次元の向こう側に行きたいのでは?今は一人ひとりがメディアの時代。工場を開くことで、心も開く」
「オープンファクトリーによるメリットはお客様だけにあるのではない。来場者数や売上金額の増加だけでなく、若手の職人の教育やリクルートにつながるなど、工場側の効果が非常に大きい」
「誰しも、無いものには敏感で、あるものには鈍感だ。今できることを、限られた予算や条件でどうするか?それが大切なことだろう」
二つ目のトークセッションで登壇したのは、昨年10月にローンチしたクラウドファンディング「WonderFLY」を立ち上げたANAホールディングス株式会社 デジタル・デザイン・ラボの梶谷 ケビン氏。どんな課題を解決するためにチャレンジしているか、なぜ航空会社がクラウドファンディングを始めたか、担当者としてどんな未来を描きたいか、お話いただきました。
「私は日系のアメリカ人。外国から見ていて日本はすごい国だな、と思っていた。この二十年近くの停滞からJAPAN was innovative.という人もいるが、私はJAPAN is still innovative.だと思っている。ゲームやアニメなど、今なお世界へ新しい豊かさを提供しており、今後さらに少子高齢化が進むことで、省力化やロボット化の進む日本は、これからも世界の先端であり続けるだろう」
「海外ではクラウドファンディングが定着している。日本においては2011年の震災からじわじわと増えてきたが、GDP3位で個人に投資力がある日本には、まだまだ伸びる余地があると考えている。また、資金集めに限らず、アメリカでは製品化、流通などビジネスの各フェイズを支援する仕組みが豊富にあるのだが、これらも日本には不足している」
「ANAの様々なリソースを活用することで、アイデア集め、資金集め、製品化、流通といった要素を一気通貫に提供し、日本の良さを世の中に提示する新しい仕組みにWonderFLYは成り得るだろうと考えている。昨年はまず試行として1回実施し、今年はスケールへの挑戦として3回実施した。長期的にみて新しい航空需要を掘り起こすことにつながっていくだろうと考えている」
続く懇親会は前回同様にとても活発なものでした。これまでと比較すると来場者が少なめだったこともあり、1人ひとりとの丁寧なコミュニケーションがなされていました。JAPAN BRAND FESTIVALは、年度内に4回目のTALK SALOOOON実施を検討中で、2018年3月には渋谷ヒカリエで例年のようなイベントを行う予定です。
JAPAN BRAND FESTIVAL – TALK SALOOOON Vol.03
日 時:2017年9月27日(水)18:30〜21:30 (開場 18:00)
会 場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター (東京ミッドタウン・デザインハブ内)
参加費:1,500円(1Drink)
主 催:JAPAN BRAND FESTIVAL運営事務局
協 力:公益財団法人日本デザイン振興会